何かしながら音楽を聴く、
ということがほとんどない。
元来、不器用な頭のつくりで、
音楽にも仕事にも集中できない。
自由に音楽を聴きながら、
できる仕事といえば、
私の場合、
大抵、文章を書くことを意味する。
かなり神経を張りつめているため、
少しの物音でも、すぐに集中をきらしてしまう。
だからといって、無音のなか執筆しているのかと言えば、そうでもない。
無音というのは、少しの物音を
かえって際立たせる。
大いなる矛盾のなかで、
そんな時に流せる音楽は、
たった一つしか、私は知らない。
Penguin Cafe Orchestra だ。
はじめて聴いたのは、
たしか高校一年生のとき。
誰かのミュージックレビューを読んで、
CDショップに駆けこんだ。
当時、シュールレアリスムに傾倒していた私は、一度見たら忘れられない、ペンギン人間にたちまち魅力されてしまったのだ。
「この音楽を好きになろう。
これがカッコイイんだと思おう。」
CDショップに向かう道すがら、
自転車をこぎながらそう誓った。
どんな音楽かもわからずに。
“室内管弦楽団風
クールミント不思議サウンド”
1980年代の来日時のポスターには、
こんな風キャッチコピーが記されていた。
J-popばかり聴きなれた
15歳の私の耳には、
全く理解不能な、まさに不思議サウンド以外の何物でもない音楽。
先の誓いを守るには、
苦痛に近い心境だった。
しかし時を経て今、
再び針を落としてみれば、
不思議と頭も冴え、
外界の雑音を消し去り、
自分だけの世界に誘ってくれる。
私を集中させてくれる、
唯一無二の音楽。
違った意味での
不思議サウンドになっていた。
今年の秋、Penguin Cafe Orchestraの中心メンバー、サイモン・ジェフスの息子である、アーサー・ジェフスが主催するPenguin Cafe が来日する。
もちろんチケットは手配済みだ。
自分の内側へと誘ってくれる音楽を、
真近で聴くことのできる日を、今から心待ちにしている。
Mayuco
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