【ワタシの結婚武者修行】笛ラムネを吹き鳴らすとき(Mayuco)


職場の先輩に、笛ラムネをもらった。

笛ラムネを手のひらにのせたのなんて、
一体何年ぶりだろう…

「コーラ味のお菓子にハマってるんだ。」

たしか、先週はオブラートが貼りついたアンパンマンのグミをくれたっけ。


せっかくなので、
口にくわえて吹いてみた。

ピュー!

思ったよりも、
大きくてよく通る音がして、驚いた。

楽しくなって、
もう一度吹いてみる。

ピュー!

虚しく笛の音が鋭く鳴り響き、
我にかえる。

口をつぼめながら
真っ直ぐ前を向いて笛を吹く
自分の姿を想像して、なんだか笑えた。

よく分からないけれど、
無意味で虚しくてなんだか可笑しくなってくる。




時を同じくして、母に言われた。
「大人は、たくさんの言葉をのみこんで生きている。
お腹いっぱいで食欲なくなったり、
胸が苦しくて息できなかったり。
解消法入手まではね…」


2つの事柄がリンクして、
今まさに、私の手のひらの上に乗っているものこそ…

思いもよらず、
私は解決法を手にした。



笛ラムネである。

•  •  •

言いたいことがある。
言わなければ、胸のつかえが取れない。
どうしても言いたい。
言ってスッキリしてしまいたい。
けれど、一度口から出た言葉は、
自分の思いとは、全く違う風に捉えられたり、
思いもよらぬ方へ転がりだす。

よく女性は(もちろん私も含め)口論になると、
「喧嘩じゃなくて、話し合いだよ!」と言う。

たしかにそう思うし、
何度も口にしたセリフだ。

洗いざらいお互いの思うことを
正直に言い合って、
腹を割って話そうよ。
喧嘩じゃない、
2人の関係を良くするための
話し合いなんだから、
さあ、あなたも意見を述べて!
強い口調でまくしたてる。

黙る男性。

男性は、“喧嘩っぽい”雰囲気に弱い。
意見を述べるどころじゃない。
早くこの嵐が去ってほしい。

その態度に怒る女性。

黙ってちゃ、
話し合いにならないじゃない!
自分の意見すら言えないの!?
論理的に問題を解決したいだけなのに…



…あるあるある。

同じ失敗を、何度繰り返したことか。
“言ってやりたい”という気持ちが爆発しそうなときは、
議論なんてすべきじゃない。

おだやかな、
とまではいかなくても、
冷静な雰囲気でなければ、
男性の耳も心も、
パタンッと閉じてしまう。

一度、熱しすぎた感情を、
冷ます行為が必要だ。


そのとき私は、笛を吹こう。
そして、同時に腹も満たそう。
たいていの不機嫌は、
空腹からくるのだから。

宙に向かって
ピュー!と笛を吹き、
それをカリカリと食べている自分の姿を想像したら、
自然と可笑しくなってくる。

相手に向かって、
語尾を荒げた言葉を
投げつけるより、
言葉にならない“音”を
空に向かって吹き鳴らす方がいい。

殻にこもる相手の姿に、
腹立ち、挙げ句の果てに
自己嫌悪に陥るくらいなら。


もしも私が、
行き場のない想いをかかえたら、
そのときどこかで、
ピュー!
と笛が鳴る。

もしもあなたに、
その笛の音が届いたのなら、
何も言わず
(ただし、クククと笑ってもいい)
ただ、そっと抱きしめて欲しい。

それが、私からのS.O.Sのサインだ。

なにバカなことやってんだろう…
と、顔を見合わせ笑いながら、
「実はあのとき、悲しかったのよ…」と
胸の中でしおらしく、
打ち明けられるかもしれない。

•  •  •

子どもの駄菓子としてしか
認識していなかった、笛ラムネ。
もしかしたら、本当に必要だったのは、
釈然としない想いを無数に抱えた、
大人のほうかもしれない。

おすすめしたい、
わたしの見つけた
感情的な口論、
もとい喧嘩回避方法でした。


Mayuco

TABLE THINGS

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