日常から(少し)離れて。



5月の松本は、緑に溢れていた。
緑をさわやかに揺らす風がそよぐ。
 街を中央に走る川に架けられた鯉のぼりは、その風に乗ってそれ見よと泳いでゆく。


ゴールデン・ウィークはたっぷり休みを取ることができた。
最近随分気忙しい。
身体が忙しいのもあるが、心の余裕がなくなってしまうと、目の前のこと一つやるのに精一杯。
 やらなければいけないことから目をそらし、なるべくやりやすいものから手を出してしまう。

人生はチョコレートの箱のようなものよ。
開けてみなければわからない。
と言ったのは、フォレスト・ガンプのお母さんだっけ。

箱を開けて、甘いのが入っているか、苦いのが入っているか、そもそも何個入っているか、
それさえもわからない。
でも、そのすべてが人生なのよ、そういう意味合いだったと思う。

とはいえ最近の僕は、その箱に入っているチョコレートを少しかじってみては、
うーん、これが欲しかったんだっけ?と、とぼけている。
それがどんな味や形だろうが、まずは噛んで、飲み込んで、自分の中に取り入れないといけない。
そして、ああ、自分はこういう味や形が好きなんだ、と分かるようになるのだ。

ゴールデン・ウィークの二日間。
妻と予定を合わせていて、さて、どこにいこう、なにをしようと話した。
家にいてもつまらない。どこか出かけよう。ちょっと遠出だ、と松本。

計画していない分、余計にお金や時間がかかったとしても、それが旅だよねと。
仕事や人生に役立てなくてもいい時間があるということをありがたく思う。

そんなときに、人は思わぬものと出会う。
最近自分の中で気になっていたテーマに、ふっとヒントをもらえた。

役立てなくてもいい時間をつくらなければ、役立つものは手に入らない。
チョコレートの箱を開けると、コロンと出てきた緑色のチョコレート。

松本の風を感じながら、包み紙をとり、口に放り込んだ。

Takuro

TABLE THINGS

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