パッチワークファミリー


血の繋がった家族と、 そうでない家族が、パッチワークのように組み合わさった子連れ再婚家庭。
そういった家族のあり方を、ドイツではパッチワークファミリーと呼ぶらしい。

再婚だったり、事実婚だったり、その形式や組み合わせは様々なのだけれど、
ドイツにはこの、パッチワークファミリーなる形式の家庭が多い。

私の周りにも、そんな家庭に育った友人が数人いる。
一人暮らしの大学生Eもその一人だ。
離婚した彼女の両親には、それぞれ新しい家族がある。
Eと、両親のパートナーの連れ子はお互いの家に行き来するほど仲良しで、
もはやEにはどちらかの家族に所属している、という感覚がないらしい。

子供の頃はカゴに入れたペットのハムスターと共に両親の家から家へ移動していたそう。
ハムスターを片手に親に会いに行く健気な女の子。
そんな幼少時を、勝手に思い浮かべた私は切ない気持ちになってしまったけれど、
彼女は特に寂しかったともこぼさず、あっけらかんと話してくれた。


そんなEは、語学学校で日本語を習っている。
授業中、自己紹介の練習で家族構成を説明するとなると、
「 両親が4人もいるから、説明が複雑で難しいし、理解もされにくい」と、ぼやいていた。
たしかに、日本語でその家族構成は聞き慣れない....。
それに、たとえ親が離婚していても、初めて会った人の前でフクザツな家庭環境を説明する人は日本では少ないんじゃないか。私が知らないだけなのかもしれないけれど...。

パッチワークではない、一枚布の家庭に育った私。
それでも父と母が喧嘩している時は憂鬱だった。妹が悲しがらないようにしようと
自分は心細くないふりをして、気丈に振る舞っていたことを思い出す。

家族の形は様々で、どんなに平和な家庭だとしても、
その中での人間関係の変遷や感情の緩急、 他人には知り得ない物語がある。
それでもみんな、家の外では涼しい顔をしているから、
人間てたくましい、などと当たり前な事を照れもせずに思ってしまった。

TABLE THINGS

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